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先延ばしの心理

ADHDじゃなくても「動き出せない」あなたへ

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やりたい気持ちははっきりあるのに、体が動かない。診断を受けたわけでもないのに、どうしてだろう。動き出せないのは怠けではなく「始める力」の問題で、それは誰にでも詰まりうるものです。

やらなきゃいけないのはわかっている。やりたい気持ちもある。締め切りが近づいているのも、やらなければ後悔するのも、ぜんぶわかっている。それなのに体が動かない。椅子から立ち上がるまで、最初の一文を書くまでが、どうしてこんなに遠いのでしょう。

最近そんな自分を見ながら「もしかして私、ADHD?」と検索したことがあるなら、ちょっと待ってください。診断のあるなしに関係なく、知っておいてほしいことがあります。動き出せないのは、意志や性格の問題ではなく「始める力」そのものの問題です。 そしてその力は、ADHDでなくてもいくらでも詰まることがあります。

「始める力」は別にある

心理学には タスク開始(task initiation) という概念があります。退屈だったり、漠然としていたり、はっきりしない物事を、それでも過度に遅らせずに 始める 力のことです。これは計画を立て、優先順位をつけ、感情を整える力とつながっています ── 私たちが思考・感情・行動を自分で律するのを助ける脳の管理機能、すなわち 実行機能(executive function) です(Cleveland Clinic)。

ここで大事なのは、これが「やりたい気持ち」とは別に働くということ。一日中そのことを考え、不安になり、罪悪感まで覚えながら ── それでも手はつけられず、止まったままでいられるのです(ADDitude)。気持ちがないからではありません。スタートボタン が押せないだけなのです。

だから、怠けとは違う

怠けとは やりたくない 状態です。タスク開始のつまずきはその正反対 ── やりたいのにできない 状態です。それなのに外から見ると二つはそっくりで、本人でさえ自分を「怠け者」と思い込んでしまう。周りも、回避や先延ばし、ひどいときには意志薄弱だと受け取ります。

この誤解こそが一番の傷になります。ただでさえ始められなくて苦しいのに、「自分が情けないから」という自責まで重なる。その自責がまた不安を育て、不安が始めることをさらに難しくしていきます。

ADHDでなくても詰まる理由

タスク開始をはじめとする実行機能のつまずきは、ADHDでとくに目立ちますが、決してADHDだけのものではありません。 実行機能の低下は、うつをはじめとするさまざまなメンタルヘルスの状態でも一緒にあらわれます(Cleveland Clinic)。診断にまで至らなくても、慢性的なストレスや燃え尽きのように、頭が限界まで過負荷になったときには、誰でも同じ「スタートボタン」の不調を経験しうるのです。

そして退屈な物事ほど、報酬が遠く感じられる物事ほど、始めるのは難しく感じられます。つまり、あなたが最近やけに始められないのは、人格が壊れたからではなく、いまのあなたの脳がそういう状態 だからである可能性が高いのです。診断名をつける前に、まずこの事実を受け入れることが、回復の始まりです。

だから、責める前に設計を

解決の方向ははっきりしています。「もっとしっかりしろ」ではなく、詰まっているのは仕事の全体ではなく「始める瞬間」だけ だと認めて、そこだけを攻めることです。最後までやり遂げる意志を丸ごとかき集めようとせず、ほんの最初の一かけらだけを目の前に浮かべておけばいい。始めるという、いちばん狭いボトルネックを一つ越えれば、あとは思ったより転がっていきます。

ADHDであろうとなかろうと、動き出せないあなたは怠け者ではありません。ただ、始めるのがとりわけ難しい脳を持っているだけで、それは設計で助けられます。その具体的な方法を、私たちは Check&Do とニュースレターで毎週いっしょにひもといています ── あなたのせいではない、という話から、今日の一歩を踏み出す方法まで。

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